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小いけのカレー

  • Aki
  • 2022年7月5日
  • 読了時間: 2分

函館に「小いけ」という大好きなカレー屋があった。


摩訶不思議に2軒あった。


表通りに「本家 小池カレー」

裏の中通りに小さな「元祖 小いけカレー」


まず、本家に行った時、

「関係あるんですか?」と聞いてみた。


なんとも不機嫌そうに、

「いいえ、ぜんっぜん関係ありません。」

ほんっと失礼な!プリプリプンッてな感じだった。


お味も別にどうでもいいと思った。


(本家はオーナーの血族が途中から継いだお店で

 元祖はオーナーと一緒に働いていた

お弟子さんが作ったお店と聞いた。)


裏の小さな「元祖 小いけカレー」に行ってみた。

随分と沢山の

お年を召されたスタッフが働いている。


異様に愛想の悪い若いウェイトレスのおねいちゃんと

おばさんが表のホールにいて

中には4〜5人いる。


厨房を見ていると、

永遠に大きな鍋を優しくかき混ぜ続ける

小さなおじさん、


ご飯を丁寧に盛り続ける

おばあちゃん、

残りのスタッフはちょこまかと動いている。



丁寧に盛られたご飯は、

字の如く、「輝いている」

見た目からして凄いパワーである。

異様に美味しいそのご飯は、

問い詰めると、「蒸している」らしい。


「何?!蒸している?

 わざわざ?!

 蒸すとはそんなに凄い調理法なのか?!」


ルーはルーで

「ザ・洋食」といった

ランプのような

あの銀の器に入っている。

それ又、なんとも言えないとろみ

優しさ、甘さ。

不思議な油やダシが

小さな粒子になって

優しくかくはんされ

キラキラと輝いている。


「何!?この液体!?

 夢!?

 もう生きていてよかった!!

 ビバ!小いけ!!!

 ありがとう!小いけ!

 ありがとう!」ってな感じである。


これさえあれば、

大抵の切なさや悲しみは

簡単に乗り越えていける。



裏切る事無く、行くたびに感動させてくれていたこの小さなカレー屋は、


今回久々に行くと

ホールと厨房で

たった2人の愛想の良いスタッフが、

函館名物カールレイモンコラボカレー!なんて

新商品のポスターなんか貼られ、

別物のカレーが出てきた。

変わらず賑わって

人気のカレー屋だったが、

別物になっていた。

経営が変わったと言われた。



もう、あのカレーはどこにいっても食べれないという

悲しみと、

こんなに食いしん坊な自分を

いつもあんなに喜ばせてくれて

ほんとうにありがとうございましたと云う

感謝の気持ちで

小いけに別れを告げました。


美園の小さな美容室

  美容室しずか   丸勢亜希子





 
 
 

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